ふたご新聞2001冬・第4号('01年1月30日発行) 


新・春・対・談

シンポジウムを終えて    

昨年2000年10月1日、宮前市民館にて、
“多胎児育児を考えるシンポジウム”が開催されました。
と平たく言うと人ごとっぽいですが、
これが我々“ふたごの会”主催ということで、
スタッフとして参加して頂いたみなさん、本当にご苦労さまでした。
開催にあたって初期の段階から大変なお力添えを頂いた青木さん宅で、
たこ焼きを焼きつつじっくりふりかえってみました。

高澤(以下:ビネバル出版さんからのオファーが7月上旬、準備期間が短くて大変でしたね。


青木(以下:もう少し時間があれば、もっといろんなところに広告だしたりできて、いろんな人に来てもらえたかも‥。特に多胎の妊婦さんや、出産直後の人に聞いてもらえると良かったね。


T:そうなんです。それに、託児付きとはいえ、1歳6ヶ月以上限定にせざるを得なかった。本当にせっぱ詰まって育児に追われている方にこそ、勉強になるだけじゃなく、息抜きになるのにね。


A:講演者の方、皆さんお忙しい方ばかりなので、せっかく来てもらうからにはもっと参加者が多くないと申し訳ない気もした。


T:当日、60人収容の会議室がだいたい埋まったから、ほっとしたね。


A:スタッフをやってくれた人から、「最初は面倒だと思ったけど、連帯感が生まれた感じがして、やって本当によかった」ってメールをもらったの。すごく嬉しかった。


T:私自身、途中で"シマッタ"と思った。安請け合いしてみんなに迷惑をかけてるんじゃないか、と。でも、それぞれの係の人がしっかり責任をもって動いてくれて、大きなミスはなく、無事に終わってとても感謝している。前日から、心臓バクバクしてたけど。


A:何が一番たいへんだった?


T:託児室の準備。託児受付という係を決めはしたけど、実際に預かってくれるボランティアの人の確保や予約受付とか、その段階をお任せしてなかったので…。託児ボランティアのグループ"あおぞら"の方を保健所で紹介して頂いて、何度も打ち合わせや連絡してるうちに、交代したり引き継ぎしたりする余裕もなくなっちゃって、かなり仕事してしまった。それに、よそのお子さんを預かるということへの認識が甘かった。保険に入ったり、子ども達が最初からすんなり遊べるように部屋割りを工夫したり、アレルギーに関係のないおやつを用意したり…。いろいろ勉強になりました。青木さんには、事前に講演者への質問募集の事務作業やら、進行案を考えたりやら、ミーティングの会場に自宅を提供してもらう(今日も)やら、頭があがりません。  


A:もっとうまく話の流れをつくりたかったんだけど…。時間余っちゃって、その場で質疑応答にしたり、なんかめちゃくちゃになった感があります。


T:アンケートには、「最後に質疑応答があってよかった」というのもあったし、結果オーライでしょう。


A:お互い、電話やらファックスやらメールやら、会社みたいだったね。


T:会社ならすぐ終わるようなちょっとした打ち合わせや作業も、集まれば倍以上子どもがついて来ちゃうから、青木さんち保育所みたいになっちゃうし(本当にご迷惑をおかけしました)。家ではご飯だおやつだトイレだ一緒に遊ぼうだで、全然はかどらないし!


A:でも、突然いい話になるけど、双子を産んで、そのことで得られた出会いには、すごく感謝してる。アンケートにもあるけど、子育てしやすい環境をつくるには、地域の中での人間関係がすごく大切。この地域は子どもが多くて、従って多胎児も他より多いから、たくさん友だちができたし、いろんないい人にめぐりあえた。ここで双子育てられて、ほんとに良かった。


T:"産んで良かった!育てて良かった!"って手放しで言えるようになるよう、頑張ろうね。今日はありがとうございました。


(この日、実は年末で、気分は忘年会。お酒も入ってるので、こんなあらたまった口調ではないのでありました)

◎シンポジウム開催にあたって、「ふたごの会」を離れていたのに突然呼び出されて、はじまりの挨拶をするはめになった上床さん、ありがとうございました。また、他にも表に出ないところでたくさんの方にお手伝いしていただいています。紙面の関係で全員ご紹介できないのが残念ですが、みなさん本当にありがとうございました。
◎講演およびパネルディスカッションの詳しい内容は、ビネバル出版発行の「季刊ツインズ2000年冬号」に掲載されています。ふたごの会でもまだ若干の在庫をもっています。お読みになりたい方は、担当者・高澤までご連絡ください。(万一、品切れの際はご容赦ください)  takasawa9@dream.com

当日寄せられたアンケートから

生の声が聞けて楽しかった。同じ悩みをかかえているという安心感があった。特に双子ご本人のお話は圧巻。我が子達の何十年か先を少し想像して、楽しいきもちになりました。
斎田さんのお話はとても楽しく、考えさせられました。怒鳴らない、叩かないという約束事は大切だと思います。それに加え、夫婦のコミュニケーションがとても大切だと思った。
男性の参加が増えないと行政も動かない、残念ながらそう思います。
経験にもとづいた率直なお話が伺えてとても共感できるところが多かった。同じ環境の人が、こうして集まって話をしたり聞いたりしていくうちに、もっと育児しやすい社会がつくれるとすばらしいと思います。
双子を育てて本当に困ったことは、赤ちゃんの頃出かけることでした。病院に行く、健診に行くなど、親に頼める人ばかりでないと思うし、そのようなことを助けるシステムがあるといいと思います。今日、みんなの力でこのような会ができて、また一歩先に進める意味でも何かしていけたらいいと思います。
空井先生のお話で、"できないことは出来ないで、自分の思いを大切にして、子どもに後であやまればいい"といわれホッとしました。自分にとって居心地のいい場所を持つというのは本当に大切な事なのだと実感。子どもを置いてきてまで出席させてもらって本当に良かったです。
加部先生の医学的なお話については、妊娠もしくは出産直後の時期に是非ききたかった。


なんの予告もなく、とつぜんの新コーナー!

体 験 記

ふたごの妊娠・出産   

清水真理さんの場合

 22週で入院し、早産を予防するためマクドナルドの手術をしました。1週間点滴をうち、お腹の張りを押さえ、落ち着いたところで子宮口を縛り、術後1週間。合計2週間の入院です。
 その後、そろそろ安静入院かなと思っていた矢先に前期破水。発熱を伴っていたため、すぐに帝王切開で出産しました。2092gと1714g、33週と6日でした。

 そのときの病院は伊勢原の東海大学病院。受け入れ体制の整った病院が県内ではそこだけだったので、当時住んでいた青葉区から搬送されたのです。
 その時の入院同意書を見ると、病名の欄に“呼吸窮迫症候群”“胎内感染”“未熟眼底”“低体重出生児”(最後のは病名なんでしょうか…by編者)などいろいろ書かれてます。体重はそんなに少ない方じゃないけれど、心肺機能が未完成(35週でできあがりらしい)なのです。保育器の中で、肺を拡げる薬と抗生物質をへその緒から点滴で投与されました。母親は先に退院し、搾った母乳を持っては伊勢原まで通う生活。遠いし赤ちゃんには会えないけれど、夜は眠れるので身体は回復できます。

 2500g程に成長し、心肺機能もととのったということで1ヶ月と少しで退院。その後は昭和大、聖マリアンナ医大と、徐々に近くの病院に変わりながら経過通院。つかまらず立てるようになる、というのがめやすらしく、1歳2ヶ月でそれも終了し、やっと普通に暮らせるようになりました。

 妊娠中、家でも安静にといわれていたにもかかわらず、いつも通り出歩いたり、実は旅行にも行っていたのです(さすがに国内ですが)。そういうことが、かなり無理だったという結果なんでしょうね。でも、自分にとって、家でじっとしていることほどつらいことはなかったのです。美味しいものを食べ歩いたり、新しいお店を見て回ったり…それもできない。おしゃれなマタニティを着て、母親学級の後連れ立ってお食事に行ったり、マタニティスイミングをしたり、そんな妊婦ライフを送れなくて、とっても残念でした。だから、こちらに越してきて、ふたごのお母さんの集まりがあると聞いたら嬉しくて嬉しくて、すぐに参加しました。8ヶ月の時で、まだ連れ歩くのはたいへんだったけど、とにかく行きたかった。

 現在3歳8ヶ月で、4月から幼稚園です。もう親が寝かしつけなくとも、2人でお布団にはいってなにやらお話ししながら、いつの間にか眠ってしまうようになりました。あまりおもちゃを買い与えなくても、相方がいれば大丈夫。2人でどんどんやることを見つけて遊んでいるのを見ると、ほほえましく、又遊んであげる手間もかかりません。

 産むのはちょっとたいへんでしたが、今は本当にふたごで良かったと思っています。(談) 


ふたごの会・2001年のスケジュール

宮前保健所の呼びかけで毎月1回行われています。ごく最近の様子をご紹介します。

2月22日(木) 紙芝居ほか
3月22日(〃) 手品ほか
4月26日(〃) 内容未定   
5月24日(〃)  〃   
6月28日(〃)  〃
場所:宮前保健所 入って右の部屋
時間:10:00開場 10:30開始 12:00終了
見学自由。お気軽においでください。


"シンポジウム"のため秋号を休みました。もし、楽しみにしている方がいらっしゃいましたらゴメンナサイ。冒頭の対談記事にもあるように、昨秋はたいへんな忙しさでした。10月1日が終わったときは、まさに燃え尽きた状態。ほかのことが何も手につかず、必要最小限の家事と育児のほかは、何もしないで過ごしました。お父さんたちが、あのような緊張感のなかで日々働いていることに、改めて感謝するしだいです。